ナツキの記憶

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小学生の頃、アキヒコと喧嘩した。


内容は、「どっちの方がフユカが好き」そんな内容だった。


でも、知っていたんだ。俺は。


フユカは、アキヒコの方が好きなんだって、こと。


知ってた。けど、認めたくなくて。


でも、もう大丈夫だ。


俺は、一番好きな人の病気が治って、幸せになってくれるなら、俺は、それだけで十分だ。


そう、思っていたのに。


アキヒコは、死んでしまった。


小さな子供をかばって、車に轢かれたそうだ。


アキヒコの実家で、冷たくなった彼に向けて、俺は聞いた。


「アキヒコ、お前、見知らぬ子供なんて守ってる場合か?お前のことを好きな人、いや、俺たちの親友が死にそうなのに?お前の死を知ったらフユカは、きっと生きる希望を失ってしまうぞ。」


「・・・・・いや、違うな、そんな、優しいお前だから、フユカは好きになったんだな。目の前の命を、自分の命をなげうってでも助ける、お前のことを、フユカは好きだったんだな。」


「俺も、俺なりのやり方で、親友の命を助ける。残念だったなアキヒコ、お前のいるところには、フユカはまだ行かせねえぞ。」


アキヒコの顔が、少しだけ、ほんの少しだけ、笑ったような気がした。


急いで家に戻ると、ビデオカメラで撮影したアキヒコの音声データを抽出した。


そして、音量、音質を編集し、パソコンでアキヒコの声を再現することに成功した。


「フユカは目が見えない、だから、アキヒコの声を聞かせて、死んだことを、せめて、手術の日まで、隠し通す。」

俺は、強い決意を胸に、パソコンを持って、フユカの病室へ向かった。

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